経営者は、顧客からの要望に応えるため又は経営課題を解決するために設備投資や人材投資を常に検討されています。しかし、様々な経営環境に置かれている中で、満足できる投資ができていないのが現状ではないでしょうか。
政府は、税制面において様々な優遇措置を準備することで、投資を検討している経営者を支援しています。多くの事業に適用されており減税効果の大きい中小企業向けの優遇措置を2つご紹介します。
青色申告書を提出する中小企業者等が、指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得等して指定事業の用に供した場合にその取得に要した費用の即時償却又は取得価額の10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用することができる制度です。
①中小企業者等とは?
・資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
*同一の大規模法人による完全支配関係がある法人等については本税制措置の対象外。
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
・協同組合等
②指定期間とは?
平成29年4月1日から令和3年3月31日までの期間
③具体例
上記税制の対象となる設備を期首に1,000万円で取得した場合(普通償却費200万円)
(1)即時償却を選択した場合
(a)普通償却費200万円
(b)特別償却費1,000万円-200万円=800万円
(c)減価償却費(a)+(b)=1,000万円(取得価額の全額を損金に算入できる)
(2)税額控除を選択した場合
(a)減価償却費200万円(普通償却費のみを損金に算入できる
(b)税額控除額1,000万円×10%=100万円(法人税額又は所得税額の20%を限度)
経営力向上計画の策定支援を通じて事業の将来を左右する設備投資の後押しをさせていただきます。お気軽にお問い合わせください。
青色申告書を提出する中小企業者等が、平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間に開始する各事業年度に国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。
①適用要件
継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額から1.5%以上増加
②税額控除額
給与総額の前年度からの増加額の15%相当額(税額控除割合の上乗せ措置もあります)
③具体例
継続雇用者給与等支給額(一定の方法で算出した今年度の給与等の金額)1,100万円
継続雇用者比較給与等支給額(一定に方法で算出した前年度の給与等の金額)1,000万円
税額控除額
(1,100万円-1,000万円)×15%=15万円(法人税額又は所得税額の20%を限度)
適用要件の判定に必要となる給与データの集計実務の支援を通じて漏れなく税額控除を受けられるようにご支援させていただきます。
事業経営者やその後継者にとって、事業承継により生じる税金はとても悩ましい問題ではありますが、事業承継税制を活用することで、これら税金の納税猶予や免税措置の適用を受けることができます。
また2027年12月末迄の期間限定で創設された「特例措置」では、適用要件が緩和されていますので、後継者への事業引継ぎに気を揉んでいるようでしたら、一度適用可能か検討に値する税制といえます。
〇 「特例措置」の主なポイント
納税猶予の対象となる株数 全株式
納税猶予割合 贈与税・相続税ともに100%
〇 事業承継税制を適用するための手続手順は、次のとおりとなります。
① 2023年3月末迄に都道府県への特例承継計画を提出します。
② 株式の承継を行い都道府県に認定申請を行い、認定を受けます。
③ 特例承継計画・認定書を添付して税務署へ納税申告を行い、納税猶予が開始されます。
*但し事業承継税制の適用後、都道府県には5年間毎年、税務署には5年間は毎年、5年経過後は3年毎に必要書類を提出しなければ事業承継税制の適用が取り消されてしまいます。
当事務所では認定支援機関として、事業承継税制を適用するための手続きはもとより、適用後の必要書類の作成・提出までの一連の手続きが滞りなく運ぶよう全面的にお手伝いいたします。
なお会社の事業実態によっては事業承継税制の適用要件が一部異なる場合があります。
また「特例措置」と併存している「一般措置」との違い等お伝えしきれない項目が多々ありますので、より詳しい内容を聞いてみたいと思ったときには、お気軽にお問い合わせください。